税関長が関税の納期限の延長を認める場合の一つの条件に内国貨物になってから3カ月以内に納税というものがあります。つまり、関税の納税の期限が延長された場合であっても、税関長としては、内国貨物となり国内に引き取られてから3カ月以内には必ず納税をさせることになります。
そこでまず、輸入許可前引取承認の場合ですが、許可前引取承認を受けると内国貨物とみなされ貨物を保税地域から国内に引き取ることができますが、承認があって暫くしてから税額の通知があり、その後に納税をすることになりますので、税額の通知の時点で内国貨物とみなされて国内に引き取られてから数カ月が経過している可能性があります。
そして、このような貨物の納期限をさらに3カ月延長することになると、結果として内国貨物となってから3カ月以上の延長を認めることになってしまいます。
このような理由から輸入許可前引取承認の場合には納期限の延長が認められていません。
修正申告と更正の場合も同様です。修正申告や更正が行われるのは通常輸入の許可の後です。しかも、輸入の許可後に即修正申告や更正がされることはほとんどなく、輸入の許可から暫くたってから行われることが普通です。そうなると、既に修正申告や更正が行われた時点で貨物が国内に引き取られてからかなりの期間が経過していることになり、これをさらに延長するということは認めることができません。
最後に、賦課課税方式が適用される貨物の関税の場合ですが、これらは大きく分けると、携帯品や郵便物のような少額の貨物の場合か、過少申告加算税のような罰金のようなものがほとんどになります。少額のものであれば、その場で納税できないような金額を徴収することはなく、罰金のようなものであればそもそも納期限を延長する必要はありません。このような理由から適用が除外されています。
|